矯正歯科とは
矯正歯科は、歯並びが悪いため食事や発声などに支障をきたしている方を対象として、歯並びを矯正していく歯科の専門診療科です。具体的には、矯正装置を用いて歯に一定の力を加えることにより、人為的に正しい位置まで動かし、上顎と下顎の歯並びを整え、正常な噛み合わせにします。
矯正治療の重要性
歯並びや噛み合わせが悪いと、歯の隙間などに歯ブラシの毛先が届きににくく、磨き残しが生じやすくなります。言い換えると、虫歯菌などが繁殖しやすいため、虫歯や歯周病になりやすくなります。また、よく噛めないために胃腸に負担がかかったり、顎関節症や片頭痛、肩こり、腰痛など、全身の機能に影響を及ぼすこともあります。歯並びを整えると、健康にも良く、精神面にまで好影響を与えるとともに、見た目が美しくなる、正しい発音ができるようになるなど、様々な良い影響がもたらされます。
矯正歯科治療の主な種類
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを使った歯科矯正治療です。歯の表面にブラケットという装置を取り付け、そこにワイヤーを通して力をかけることで、少しずつ歯を動かしていきます。以前は頬側にブラケットを取り付ける方法が多かったのですが、近年は舌側に付けるケースも多くなりました。ブラケットの素材には、金属や透明プラスチック、セラミックなど、いくつかの種類がありますので、審美面などを考慮しながら決めていきます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを歯列に被せて歯を移動させる治療法です。3次元デジタルシステムなどを用いて歯型を印象採得し、このデータに基づいてマウスピースの製造販売業者や歯科技工士が作成します。これを装着することによって少しずつ歯を動かしていきます。従来のブラケットやワイヤーを使用する矯正装置と違い、装着しても目立ちません。自分で脱着可能なのが大きな特徴で、食事も歯磨きもいつも通りに行えます。使用するマウスピースの数は症例などにより異なってきますが、1人あたり概ね20～60個程度です。
床矯正
床矯正は、取り外し可能な、入れ歯に似た形をした装置（床装置）を使った矯正法です。床装置にネジがついていて、そのネジを回して顎を拡げたり、歯を動かしたりして歯並びを整えていきます。床矯正は歯をメインにして動かすのではなく、顎骨の方を拡げていく治療法であり、矯正歯科を標榜している歯科医院の中にも、積極的に取り入れているところと、行っていないところがあります。
インプラント矯正
インプラント矯正は、インプラントの技術を活用した矯正方法です。矯正専用に開発されたインプラントを顎骨に埋め込み、このインプラントを支点として残存歯の方向を調整していきます。マウスピース矯正よりも歯がスムーズに動くので、治療期間を大幅に短縮できます。また、抜歯も最小限に抑えることができると言われています。
